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ブログ小説

ロフトに住みたいその18

中2階ということに
きがついて
何か明かりが見えたような気がしました。

家に持ち帰って
家の
パソコンで
プランを作りました。

頭の中には
3Dのイメージはできていました。

少し寝て
朝早く
会社に行きました。

会社の
パソコンで
3Dイメージを
作って
印刷しました。

優子は
なかなかの出来栄え
と思いました。

社長にも
報告しました。

承諾を得て
啓介に
電話をしました。

休みが取れないので
次の日曜日
家で
会うことになりました。

待ち遠しく
待っていました。

会社の同僚は
優子を
恋人会えるのを
楽しみに待っているようだと
冷やかしました。

優子は
「そんなことありません」と
言って
頬を赤くしていました。

同僚に
そのようなことを言われて
啓介のことを
初めて
意識しました。

ロフトに住みたいその13

でも優子の
所期の目的の「ロフトに住む」
ことは
なかなか達成できません。
自分で作ったロフトに住むと言う夢は
夢のまた夢
現実になることなど
あり得ないと
思いました。
はじめから
お金の面から
無理なことは
分かっていたのですが
こうもはっきりと分かると
いくら陽気な
優子といえども
落ち込みました。

それなら
ロフト付きのお部屋を
借りればいいのですが
両親が
許しそうにもありません。

優子は
結婚して
ロフトに住むと言う案もあるかなと感じつつ
ロフトに住むために
結婚するとは
本末転倒
問題多いとも考えました。
好きな人も現れず
仕事に打ち込むしかないと
言う結論になってしまいました。

でも客観的な結論がそうでも
そんなことばかり考えて
仕事をしたり
テレビを見たり
していたのですが
そんな優子に
大きな出会いが
やってきます。

ロフトに住みたいその12

家に帰ると
ぐったりと
疲れてしまいました。
目は疲れるし
腕や足も疲れてしまいました。

翌日にも
疲れは残った感じでした。

翌々日
会社から
採用内定の
知らせが
やってきました。

優子は
自信がなかったけど
まずは合格して
ほっとしました。

内定が決まると
優子は
卒業設計に
励みました。

「既存家屋に
ロフトを有効に取り付ける方法」
テーマにしました。
指導教官は
少し困った様子でしたが
優子の熱意に押されて
承諾することになりました。

卒業発表の日
4年間の集大成ともいえる
卒業設計のプレゼンをしました。

学生の間には
評価を得たのですが
先生方には
世代間ギャップというのでしょうか
少し戸惑った様子が見えました。

春に
大学を卒業して
会社に入社することになりました。

始めの内は
お茶汲みや
掃除などの雑用で
時間が過ぎました。

初めてのお給料で
両親にプレゼントをしました。

両親は喜び
新しい服を買ってもらいました。

それから
1年
優子は
仕事にもなれ
それなりの仕事もさせてもらうように
なりました。

ロフトに住みたいその11

翌週の日曜日
社長と設計担当と優子は
リフォームをするお客様の家を
訪れました。
優子も
一応社員ということで
新しい作業着と
研修生の腕輪をして
家に入りました。

家人は
「子供が大きくなってきたので
広くしてほしいと」と
要求を言いました。

設計の担当は
手際よく
現況の寸法を
写し取り
写真を撮りました。

社長は
具体的な要求を
聞きました。

優子は
メジャーの端を持つのが
精一杯で
うろうろするばかりです。

小一時間で
その家を後にして
会社に帰りました。

さっそく
現況の家の
図面を
起こすように指示され
パソコンに向かいました。

書いたメモが
十分だったので
現況図が直ぐに出来上がりました。

午後から
どのような提案をすべきかを
3人で相談しました。

優子も意見を求められましたが
うまく言えませんでした。

問題点を整理して
会議は終わりました。

終わり際
「5時まで君なりの
意見を図面にまとめてみるように」
と指示されました。

優子は
大学の勉強には
ある程度自信が会ったのですが
実際の仕事とは
全く違うと思いつつ
夕方まで
あーだ
こーだ
そーだ
と思案をめぐらし
優子なりの一案を
CADで書き上げました。

少し逸脱しているように見えるけど
ロフトがあって
天窓がある案を
書いてみました。
お客様の要求は
すべて満足できているように思いました。

退社間際に
社長がやってきて
成果物を「ほー」
と言って受け取って行きました。
それから事務の人が来て
その日のお給料をもらって
印鑑を押して
帰りました。

ロフトに住みたいその10

3年の終わりになると
就職活動が始まりました。
ずーと続く就職難の時期に
優子は
構造的な不況業種の建築界に
入ろうと努力することになります。

男女を問わず
就職難で
採用するところは
まれで
建築系を
諦めようとまで思いましたが
初心貫徹
一応数十社の会社説明会にも出席し
エントリー面接を受けました。

でも
採用内定は
受けられず
悩みました。

建築を選んだのは
ロフトに住むため
という理由が
あまり安直過ぎたのでしょうか。

優子は
ロフトに住みたいと
今でも思っていましたが
この方法以外に何かないか
真剣に考えたこともありました。

そんな悩みの中で
たまたま目にとまった
リフォーム会社に
面接を受けに行きました。

社長が面接官で
こじんまりした小さな会社でした。

優子:
よろしくお願いします。

社長:
こちらこそ
紋きり方の質問で悪いんだけど
建築を志した動機は

優子:
はい
少し長くなりますが
子供の時に
近くにロフトの家があって
その家に
関心があったんです。
その後そこの家の子供と友達になって
何度となく
ロフトのお部屋に入りました。
それ以来
ロフトが好きになって
将来は
ロフトの部屋に住みたいと
思うようになりました。
それで
進学の時
建築を選びました。
選んでみると
以外に面白い
すべてはまだ分かりませんが
建築って
面白いと思うようになりました。
ロフトを通しての建築でしたが
建築そのものに対する関心のほうが
今は強いです。

社長:
おー
そこまで
建築がすきなのは頼もしいね
今はなんとなくという理由が
多い中
君は特異だね。
わが社は
リフォームが主ですが
リフォームといっても
ロフトばかり作っているわけでないので
君の願望にかなうかどうか分からないけど、、、

具体的には
わが社で
どんなことをしてみたいと思いますか

優子:
御社の業務内容について
詳しく知りませんが
お客様に
納得できるリフォームが
出来るように勤めたいともいます。
また
お客様が
知らないような
提案もしていただきたいともいます。
建築は万能ですので
どのようなことも
困難を恐れず
してみたいと思います。

社長:
ほー
提案の中には
君のお得意のロフトも入っているのかね

優子:
出来ましたら
入れてみたいと思います。
少しでも快適な空間を
創造できるように努力します。
そうすることが
御社の信用度を高め
結果的に利益に貢献できると
思います。

社長:
ほー
頼もしい限りだ。
明日からでも来てほしいくらいだね。

次の休みの時
少し時間がいただけるかな
わが社の
リフォームの物件を
ひとつ提案を願えないかね
もちろんお給料は少ないけど出すから

ロフトに住みたいその9

優子は
大学で
建築のお勉強です。

建築科には
女性が少ないので
紅一点とまではいかなくても
まれな存在なので
何をしても
目立ちました。

優子は
始め製図は
難しいと思っていましたが
やってみると
意外とこれが
面白いのです。

実際に
製図版で書くのと
CADといって
コンピュータで書くのがあるのですが
どちらも
優子にとっては
興味深かったのです。

鉛筆で書く製図は
見るのも初めてで
もちろん書くのも初めてです。
線がケント紙に
うまく描けた時は
感激でした。
模写もうまく出来ました。
建築の各部分の細かいところなど
全くそれまで
知らなかったけど
書いていると
「そうなんだ」と
改めて納得するようなこところもありました。

一方
コンピューターを使って描く
CADは
それなりに興味深いものでした。
手で書くより数段どころか数十段
細かく描け
その上寸法も正確に描けるところに
すばらしさを見出しました。

特に父親が
パソコンが好きだったので
子供の時から
パソコンに慣れ親しんでいましたので
パソコンにアレルギーが
なかったのかもしれません。

いろんなことに
得意な優子は
男子学生にも人気がありました

製図は毎週課題が出され
月曜日に提出になっていました。
そのために
土日はいつも朝から夜遅くまで
製図版に向かったり
あるいはパソコンに向かったりしていました。
手を抜かない
ええ加減にしない優子の性格が
そうさせたのかもしれません。

卒業するころには
相当上達していました。

ロフトに住みたいその8

優子は
ロフトに住みたいと考えながら
大きくなっていきました。

優子は
ただ単に住みたいと手をこまねいて
じっとしていただけではありません。

ロフトに住むためには
この家に住んでいては
なかなか夢はかなわない。
この家を出て
独立して
ロフト付きの
家を借りて
一国一城の主になるしか
ないと考えました。

やっぱりそのためには
勉強して
立派な人間になることが
一番の近道と考えていました。

中学生になると
優子は
今までとは
打って変わって
勉強熱心になりました。

だからと言って
学業優秀とまでは行きませんでした。

高校に入ると
将来の進路が
気になります。

単純に
会社員になっていては
ロフトに住めるほどの収入があるかどうかわからないと考えました。
やっぱり手に職を付けることが
大事かと考えたのです。

それで
ロフトに住む事も考え
安直かも知れませんが
建築士になることにしました。
建築士は
普通は男の仕事ですので
家族からは反対されましたが
優子の意志は固いので
認めざる得なかったのです

ロフトに住みたいその7

その日から
政子のロフトは
優子の大のお気に入りなりました。

政子に会うのを
口実に
政子の家に
いや
ロフトに行きました。

ロフトに付いている
小さな窓から
外を見回しました。

窓から見る景色は
いつもの景色ではなかった。
遠くの山並みが
綺麗に見えた。

冬になると
早々と
山並みに太陽が沈むのは
本当に美しい景色でした。
刻一刻と
変わる空の色
山の色
空気の色
そして
部屋の色は
どう表現して良いかわかりません。

政子の部屋で
勉強をしながら
いつも見ていました。

優子は
両親に
政子の
ロフトのことを
何度も何度も話していました。

そして最後に
「私の家も
ロフトを作ってお願い。
ロフトに住みたいの」
と言いました。

両親は
それに対して
いつも
「大きくなったら
自分で作ったら」と答えていました。

ロフトに住みたいその6

政子が指さした二階には
小さな階段があって
その階段を上って
政子の部屋に行くのです。

政子の誘いで
階段を上って
優子は
政子の部屋に入りました。

政子の部屋は
南向きです。
天井は斜めになっていて
低い方の天井は
子供の
政子では
頭を打たない高さですが
大人なら
低くて
頭が当たるくらいの高さです。

南には
レースのカーテンが掛かっている
窓があって
日差しが差し込んでいました。

政子:
この部屋が私のお部屋
小さいけど
良いでしょう。

優子:
わー
すてき

政子:
私、ここが大好きなの
小さいお部屋だけど
良いでしょう。
ここは
私の秘密基地よ
綺麗に整頓していたら
お母さんは
入ってこないことになっているの

優子は
一目で
この部屋が好きになってしまいました。

ロフトに住みたいその5

優子はお部屋に入って
驚いたことは
その天井高にあります。

吹き抜けだったんです。
当時としては
相当珍しく
優子は
まだ見たことのない
お部屋に
目をパチパチしていました。

政子が
「このお部屋びっくりした?
私もこのお部屋に入ったとき
びっくりしたよ
びっくりしたよね。」と
尋ねました。

優子は
案内されるままに
軟らかい椅子の
ソファに
座りました。

政子のお母さんが
紅茶とケーキを
持ってきてくれました。

薄い紅茶茶碗に入っていて
食べたことのないような
ケーキでした。

食べてから少し話して
政子の部屋に
行くことになります。

政子:
私の部屋はどこだと思う?

優子:
どこなの
初めて来た家ののでそんなこと知らないわ

政子:
私の部屋は
あそこよ

そう言いながら
指さした先は
上の方でした。

ロフトに住みたいその4

お母さんは
「行っても良いけど
よい子でね」
と言ってくれました。

「もちろん
私は
いつも良い子です」と
答えました。

母親は
驚いていました。

優子は
服を着替えて
政子の家に
出掛けました

新しく母親が作ってくれた
赤い
水玉柄の
ワンピースです。

政子の家の前で
「政子さん
こんにちは」
と言いました。

家の中から
政子が出てきて
「いらっしゃい
どうぞ」と言って
迎えてくれました。

政子の後を付いて家に
初めて入りました。

玄関を入ると
すぐに右に曲がって北側の廊下に出ます。
片側に窓があって
その廊下がちょっと続いて
突き当たりに扉があります。

その扉を
政子が開けると
優子には
見たこともないような
お部屋が現れました。

ロフトに住みたいその3

優子は
翌日三角屋根の
家に行って
「おはよう
学校に行きましょう」
と誘いました。

転校生は政子と言って
親と一緒に
ランドセルをしょって
家から出てきました。

政子のお母さんは
「優子さん
誘ってくれてありがとう。

優子さんは
今日
学校から帰ってきて
何か用事あるの

もし無かったなら
今日家に来て頂戴

ちょっとした
パーティがあるの」
と尋ねました。

優子は
「今日は
塾がないけど
お母さんに言ってから
来ます」
と答えました。

その日は
ふたりで早く下校して
優子は
家にランドセルを置いて
母親に
「三角屋根の政子さんのところに
行ってくる」と言いました。

優子は
ドキドキしました。
疑問というか
憧れというか
三角屋根の家に
入れるんだ
探検できるんだと思ったのです。

ロフトに住みたいその2

優子は大きな三角屋根の家の前を
通るときはいつも
その屋根をいつも見ていました。

その家には
小さな犬がいて
家の中で飼われているらしくて
窓から顔を出しているときもありました。

何年間かその前を通って学校に通いました。
ある年の春
その家の前に
大きなトラックが横付けされて
荷物を運び込んでいたのです。

優子は
何か分かりませんでしたが
学校に行って
授業が始まると
先生が
ひとりの女の子を
連れてきました。

優子は転校生がやってきたのかと
思いました。

先生は女の子を紹介した後
優子に「優子さんあなたの住んでいる
ところの近くに住んでいるのよ
仲良くしてあげてね」と言いました。

その日新しい転校生と
一緒に学校から帰りました。
ふたりはすぐに仲良くなって
話ながら帰ってきました。

そして
その三角屋根の家の前で
「私の家ここなの
じゃね
また明日ね」と言って
家の中に入ってしまいました。

優子は
この家に引っ越ししてきたのかと
始めて知りました。